「自分が本当にやりたいことがわからない」と感じている方は、決して少なくありません。むしろ、真面目に人生と向き合っている人ほど、この悩みにぶつかります。
心理カウンセラーとして多くの方のお話を聴いてきましたが、「やりたいことが見つからない自分はダメなのではないか」と、自分を責めてしまっている方がとても多いのです。今日はまず、その苦しさに寄り添うところからお話しさせてください。
やりたいことがわからないと悩むあなたはおかしくない
「周りはみんな夢を持っているのに、自分だけ何もない気がする」「好きなことを仕事にと言われても、そもそも好きなことがわからない」そんな声を、これまで何度も聞いてきました。
ですが、やりたいことが見つからないのは、能力が低いからでも、意欲が足りないからでもありません。多くの場合、心がとても疲れていたり、これまで周囲の期待に応え続けてきた結果、自分の本音がわからなくなっているだけなのです。
たとえば、子どもの頃から「ちゃんとしなさい」「失敗しないように」と言われ続けてきた方は、自分の気持ちよりも正解を探す癖がついています。
その結果、「本当はどうしたい?」と聞かれても、頭が真っ白になってしまうのです。これは自然な反応であり、あなたの心が弱いわけではありません。
やりたいこと探しが苦しくなる理由
やりたいことを見つけなければ、と焦れば焦るほど、心は緊張してしまいます。「早く答えを出さなければ」「何か情熱を持てるものを見つけなければ」と自分を追い立てると、心は安全ではないと感じ、ますます本音を隠すようになります。
心理学的にも、人は安心しているときにしか、自分の本当の欲求に気づくことができません。
たとえば、テスト中に「早く答えを書け」と急かされると、簡単な問題でも思い出せなくなることがありますよね。それと同じで、心に余裕がない状態では、やりたいことは見つからなくて当然なのです。まず必要なのは、答えではなく、安心です。
やりたいことは突然ひらめくものではない
多くの人が、「やりたいことはある日突然、雷に打たれたように見つかる」と思い込んでいます。しかし、実際にはそうではありません。やりたいことは、日常の小さな感情の積み重ねの中に、静かに隠れています。
「少し楽しかった」「なぜか気になった」「これは嫌だった」という、ほんの小さな心の動きが、その種になります。
たとえば、誰かの相談を聞いたあとに、少しだけ心が温かくなった経験はありませんか。あるいは、文章を書いているときだけ時間を忘れられたことはありませんか。
それらはまだ「やりたいこと」と呼べるほど大きくないかもしれませんが、とても大切なサインです。今は、それで十分なのです。
まずはやりたいことよりやりたくないことに目を向ける
いきなり「やりたいこと」を探すのが難しい場合は、「これはつらい」「これはもう無理をしている」と感じることに目を向けてみてください。心は、好きなものよりも、嫌なもののほうが先に教えてくれることが多いからです。
やりたくないことを減らしていくことは、心を守る大切な作業でもあります。
たとえば、人と会うたびにどっと疲れる環境にいるなら、無理に社交的になろうとしなくて大丈夫です。逆に、誰かの役に立てたときだけ少し楽になるなら、そこにあなたの価値観が隠れているかもしれません。
否定せず、評価せず、ただ「そう感じているんだな」と受け止めてあげてください。
自分の感情を取り戻す練習
やりたいことがわからない方の多くは、自分の感情を感じること自体に慣れていません。そこでおすすめしたいのは、一日の終わりに「今日はどんな気分だったか」を振り返ることです。
うれしい、疲れた、安心した、モヤモヤした。言葉はそれだけで十分です。
たとえば、「今日は何もしていないのに疲れた」と感じたなら、それは心が頑張っていた証拠かもしれません。「特別なことはなかったけれど、穏やかだった」と感じたなら、それはあなたにとって大切な状態です。
感情に気づくことは、やりたいことへの遠回りのようで、実は一番の近道です。
今は見つからなくても大丈夫という安心を持つ
やりたいことは、今すぐ見つからなくても大丈夫です。人生のある時期には、探すよりも休むことが必要なこともあります。心が回復してくると、不思議と興味や関心は自然に戻ってきます。
焦らなくていい、比べなくていい、そのことをどうか忘れないでください。
これまで誰かの期待に応え続けてきたあなたは、十分に頑張ってきました。今は「見つからない自分」を責めるのではなく、「まだ探す準備の途中なんだ」と優しく声をかけてあげてください。
やりたいことは、あなたを急かすものではありません。あなたが安心したとき、そっと姿を現します。
参照ページ:自分が本当にやりたいことが見つからない場合の見出す方法
あなたのペースで進んでいい
やりたいことを見つける道のりに、正解も期限もありません。誰かの成功例と同じ形でなくていいのです。
大切なのは、あなたの心が少しずつ緩み、「これならできそう」「これは嫌じゃない」と感じられる瞬間を大事にすることです。
今日は何も見つからなくても構いません。この記事を読んで、「少し気持ちが軽くなった」と感じたなら、それ自体が大切な一歩です。
あなたの心は、ちゃんと生きています。
今はただ、安心してここにいてください。