何もする気力がないのはセルフネグレクトかもしれません

何もする気力がわかないとき、自分でも何が起きているのか分からず、ただ「しんどい……」という感覚だけが心の中に広がってしまうことがあります。

そんな自分を責めてしまったり、「怠けているだけなのでは?」と不安になったりするかもしれません。でも、本当に大切なのは、まずあなたが感じているつらさを真剣に受け取ってあげることです。

何もできない状態は、あなたの弱さではなく心のSOSかもしれません。

日常のことが後回しになってしまう。食事を作る気力がわかない。お風呂に入るのが重荷に感じる。部屋を片付けようと思うのに、体が動かない。

もしそんな状態が続いているなら、それは「セルフネグレクト(自己放任)」の始まりかもしれません。でも誤解しないでください。これは決してあなたの「意志が弱いから」ではありません。

心が疲れすぎている人ほど、行動のためのエネルギーが枯れてしまうことがあります。体力があるかどうかとは関係なく、心そのものが限界に近づくと、本当に「動けない」状態になるのです。

 

小さなことができなくなるのは異常ではありません

たとえば、仕事でずっと気を張っていたり、人付き合いで無理を重ねてきたり、家族のために自分を後回しにしてきたり。

そうした積み重ねは、コップに水が少しずつ溜まるように心の余裕を奪っていきます。気がついたときにはもうコップから水があふれていて、何をするにも重たく感じてしまう。

これは誰にでも起こりうる、自然な反応です。感情や心の限界は、決してあなたの努力不足ではありません。「やろうとしているのに動けない」という苦しさは、心がしっかり頑張ってきた証です。

たとえば、毎日きちんとしている人ほど、限界を超えた瞬間に一気に崩れてしまうことがあります。真面目な人、我慢強い人、自分の感情を抑えがちな人ほど、セルフネグレクトに陥りやすいとも言われています。

 

あなたが悪いのではなく、心が疲れすぎているだけです

どうか「自分はダメだ」と思わないでください。心が疲れ切ったとき、人間は誰でも「できない自分」を受け入れられなくなり、自分自身を責めてしまいがちです。

でも、あなたが今抱えているつらさは、あなたが怠けているからでも、弱いからでもありません。

例えるなら、ずっと走り続けた車のエンジンが熱を持って動かなくなるようなものです。車を責める人はいないはずです。本当は、冷やす時間や整備の時間が必要なだけなのです。

あなたも同じです。今はただ、心のエネルギーが消耗しきっている状態です。何もできないのは「気持ちの問題」ではなく、心のストレス反応や疲弊が限界に達しているだけなのです。

 

ひとりで抱え込むと、余計につらさが深まります

セルフネグレクトの状態になると、人は誰にも頼れなくなってしまうことがあります。「迷惑をかけたくない」「相談するほどのことじゃない」と思ってしまったり、「話しても理解されない」と感じてしまったりして、孤立感が深まることもあります。

でも、ほんの少しだけでも誰かとつながること、心の中の気持ちを言葉にすることは、あなたの心を助ける大きな力になります。大げさな相談でなくてもいいのです。

たとえば「最近ちょっと元気がないんだよね」と言うだけでも、あなたの心の負担は少し軽くなります。

そして、もし誰にも話せないなら、こうして文章を読んでいる自分自身を感じてください。「なんとかしたい」という気持ちがあるだけで、本当はあなたはもう変化の入り口に立っています。

 

小さな一歩でいい。回復は「できること」を取り戻すところから

セルフネグレクトの状態から抜け出すとき、大切なのは大きな改善をいきなり求めないことです。たとえば、いきなり部屋を全部片付ける必要はありません。

ただコップをひとつ洗うだけでも立派な一歩です。スマホの通知をひとつ整理するだけでも大きな前進です。

たった一つでも「できた」と感じられることは、あなたの心のエネルギーを少しずつ回復させてくれます。心は、ゆっくり、ゆっくりと回復していくものです。焦る必要はまったくありません。

あなたが今感じている苦しさは、ちゃんと理由のあるものです。そして、その苦しさは放っておいていいものではありませんが、必ず抜け出す道があります。

参照ページ:セルフネグレクトで「何もする気力がない」症状・原因・改善法

 

まずは、あなたがあなた自身の味方でいてください

もし今、あなたが何もできない自分を責めているなら、どうかその気持ちを一度そっと横に置いてみてください。

あなたは今、とてもつらい状況の中で、それでも現状をどうにかしようと気持ちを向けています。それだけで十分すぎるほど頑張っています。

この文章を読んでくれたその行動こそが、あなたがまだ自分を見捨てていない証拠です。セルフネグレクトは決して「本人のせい」ではありません。心が限界を越えてしまっただけ。だからこそ、あなたはこれから少しずつ立ち上がることができます。

ここから先は、あなたのペースで大丈夫です。ゆっくり一緒に整えていきましょう。