「容姿にも自信がない」「キャリアも中途半端な気がする」「お金の余裕もない」。
そんなふうに、自分のことを一つも肯定できない日が続くと、心はどんどん重くなっていきます。
朝起きた瞬間から気分が沈み、鏡を見るたびにため息が出て、職場では同僚と自分を比べては落ち込み、通帳の残高を見ては将来が不安になる。そんな毎日を過ごしている方は、決して少なくありません。
たとえば、SNSを開けば、同世代の友人が海外旅行を楽しんでいたり、昇進の報告をしていたり、素敵なパートナーとの写真を投稿していたりします。
それを見るたびに「自分は何をやっているんだろう」と胸が締めつけられる。あるいは、会議で発言しようとしても「どうせ自分の意見なんて価値がない」と口をつぐんでしまう。
買い物のときにレジで金額を見て、欲しいものを諦める自分に、さらに自己嫌悪を重ねてしまう。
こうした一つ一つの小さな出来事が積み重なり、いつしか「自分には何も誇れるものがない」という感覚が、心の奥に根を張ってしまうのです。
でも、ここで知っておいてほしいことがあります。
それは、あなたが感じているつらさは、あなたの性格が弱いからでも、努力が足りないからでもないということです。
人は誰でも、他人と比べることで自分の価値を測ろうとする性質を持っています。これは心理学でも古くから知られている、ごく自然な心の働きです。
ただ、比べる対象がSNSや職場の一部の成功例に偏ってしまうと、実際の自分よりもずっと厳しい基準で自分を評価してしまうことになります。
つまり、あなたが自分を過小評価しているように感じるとき、それは事実の反映ではなく、比較の仕方がゆがんでいる可能性が高いのです。
もう一つ大切なことがあります。
容姿、キャリア、経済力という三つの要素は、たしかに社会の中で評価されやすい指標です。
しかし、それらは人の価値のごく一部を映す物差しにすぎません。
にもかかわらず、私たちはこの物差しだけで自分の全体を判断してしまいがちです。まるで一枚の写真だけを見て、その人の人生すべてを語ろうとするようなものです。
今のあなたが感じている「自信のなさ」は、あなたという存在の限られた側面を、過度に大きく見てしまっている状態だと言えるかもしれません。
まずは、そのつらさを我慢したり、無理にポジティブに考えようとしたりする必要はないということを、心に留めておいてください。
今つらいと感じているなら、その感情をそのまま認めてあげることが、回復への第一歩になります。
なぜ自信が持てなくなるのか
ここからは、なぜこうした状態に陥りやすいのか、心理学的な視点から少し整理してみます。
難しく感じたら、読み飛ばしていただいても構いません。大切なのは「自分だけが特別におかしいわけではない」と知ることです。
自己肯定感の理論では、人の自己評価は生まれつき決まっているものではなく、育った環境や経験によって形づくられるとされています。特に、次のような要因が重なると、自信を持ちにくくなる傾向があります。
一つ目は、社会的比較のゆがみです。
人は無意識のうちに、自分より優れていると感じる相手とばかり比較してしまう傾向があります。たとえば同期の中で一番昇進が早い人、フォロワーの多いインフルエンサー、経済的に恵まれた友人など、極端な例を基準にしてしまうと、平均的な自分がどうしても見劣りして見えてしまいます。
二つ目は、認知のゆがみと呼ばれる思考のクセです。
たとえば次のようなパターンが挙げられます。
・全か無か思考、一つの失敗を「すべてがダメだ」と結論づけてしまう
・過度の一般化、一度の出来事を「いつもこうだ」と広げてしまう
・心のフィルター、良い点があっても悪い点だけに注目してしまう
・感情的決めつけ、不安に感じるから「実際に自分はダメな人間だ」と思い込んでしまう
これらの思考のクセは、誰にでも起こりうる自然な反応です。
しかし、それが日常的に繰り返されると、事実以上に自分を厳しく評価してしまい、気分の落ち込みが慢性化していきます。
三つ目は、自己価値を外的な条件に結びつけすぎることです。
心理学者アルバート・エリスの理論では、人は「容姿が優れていなければ価値がない」「収入が高くなければ認められない」といった、条件つきの自己評価のルールを心の中に持ちやすいとされています。
このルールが強いほど、条件を満たせないときの自己否定は大きくなります。
こうした状態を和らげるためには、次のような視点の転換が助けになります。
第一に、比較の対象を意識的に広げることです。
極端な成功例だけでなく、同じように悩んでいる等身大の人たちの存在にも目を向けると、自分の状況をより現実的に捉え直せます。
第二に、自分に対して友人に接するような優しさを向けるセルフコンパッションという考え方です。
心理学者クリスティン・ネフの研究では、自分の弱さを厳しく責めるよりも、失敗した友人にかけるような言葉を自分自身にもかけることで、心の回復力が高まることが示されています。
たとえば「またダメだった」ではなく「今回はうまくいかなかったけれど、よく頑張った」と言い換えるだけでも、心の負担は変わってきます。
第三に、自己価値を一つの条件に依存させず、複数の側面に分散させることです。
容姿、キャリア、経済力以外にも、人への思いやり、粘り強さ、好奇心、誰かを支えてきた経験など、数字や見た目では測れない価値があなたの中には必ずあります。それらを少しずつ言葉にして書き出してみることも、有効な方法の一つです。
私が好きなサイト→メンタルケアの権威
つらい気持ちを抱えたまま、一人で頑張り続ける必要はありません。
信頼できる友人や家族に気持ちを話すこと、カウンセラーや専門家に相談することも、心を整えるための立派な選択肢です。
焦らず、今日できる小さな一歩から始めていただければと思います。